Klinefelter syndromeに特有のmiRNA発現パターン
Decreased miRNA expression in Klinefelter syndrome
https://doi.org/10.1038/s41598-017-16892-3
KSの末梢血を使って、マイクロRNA分析を行った。
60 down- and 13 up-regulated で、特にMIR3648と MIR3687が下がっている。qPCRでも確認した。
MIR3648は減少だが、MIR3687はKSでは発現していない。この2つのmicroRNAはいずれも21番染色体にある。
metformin が前脂肪細胞の分化を抑えることが示されているが、2週間5MMのmetforminトリートにより、内臓由来の脂肪前駆細胞では 27種のmiRNAがアップし、6種のmiRNAがダウンする。
その中で特に miR-1246 と miR-3687 がアップしている。
つまり、脂肪細胞への分化が抑制されている状態ではmiR-3687は上がっているが、KSではこれが全く発現していないという事になる。 この発見は脂肪細胞の分化がmiRNAによって調節されていることを示唆し、miR-1246, miR-3687, miR-422aを ターゲットとした内臓肥満の治療の可能性を示している。
mir-3687のターゲット遺伝子は、いくつか分かっており、PPARGC1B(PPARG coactivator 1β), MEMO1 (mediator of cell motility 1) 、 GDF7である。
PPARGC1Bは、いくつかの転写因子を活性化し、脂肪の酸化、グルコース代謝、エネルギー支出に関与しているのかもしれない。前糖尿病、2型糖尿病代謝ではこのタンパク質が低下しているし、この遺伝子のヴァリアントは肥満リスクを増す。
MEMO1は、銅依存性のレドックスタンパクで、insulin-like growth factor-I receptor-dependent signalling eventsの調節を介して、乳がんに関与している。
GDF7は分泌型のリガンドで、TGFベータスーパーファミリーに属している。この遺伝子を欠損したマウスは、 ドーパミン型ニューロンが形成されず、脳の形成不全、雄の不妊、未熟な時期での死が報告されている。
もしこれが本当で、臨床でMIR3687を投与するような事が可能になれば、、と思ってぐぐってみると、2017年のCellにこのような論文が出ている。
Adipose Tissue Macrophage-Derived Exosomal miRNAs Can Modulate In Vivo and In Vitro Insulin Sensitivity
Cell. 2017 Oct 5; doi: 10.1016/j.cell.2017.08.035.
http://aasj.jp/news/watch/7496 西川先生が日本語で解説したページにリンクを張ることにする。