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ビタミンD投与による骨密度改善

Role of vitamin D levels and vitamin D supplementation on bone
mineral density in Klinefelter syndrome

Osteoporos Int (2015) 26:2193–2202 DOI 10.1007/s00198-015-3136-8

 

イタリア。ノンモザイクのKS 127名と、 年齢がマッチした成人男性60名のホルモン濃度、25-ハイドロオキシビタミンD、PTH(副甲状腺ホルモン)、骨密度をDEXAで測定した。
さらに、KS34名には、T-gel 2 % と calcifediol を2年間補充した追跡調査も行った。
この34名のうち、12名はテストステロンのみ、8名がカルシフェジオールのみ、14名が両方を補充した。
Calcifediol 補充は、 Didrogyl (Bruno Farmaceutici), 4000 IU/週から始め, 25-hydroxyvitamin D levels が 50 nmol/lを上回るように半年ごとに調整した。

 

調査したKSは平均年齢31.5±8.5、コントロールは 30.9±8.4 歳である。

KSの骨量変化は早い時期から始まり、成人になると加速する。精巣で発現している遺伝子は、ビタミンDメタボリズムに関係があるものが多く、例えばチトクロームP450ファミリーCYP2R1は精巣で高発現であるが、ビタミンD活性化の鍵となる酵素である。KSの精巣萎縮はビタミンDに何らかの影響を及ぼしていると考えられる。

ビタミンDの欠乏を50 nmol/l以下として、 KSはコントロールに比べて有意に25-hydroxyvitamin Dレベルが低下していた。
またKSは腰椎および大腿骨の骨密度が低い。インシュリン抵抗性が増加している。

一方、コントロールの成人男性でも低い25-hydroxyvitamin Dの被験者は、骨密度が低下していた。

 

KS患者の骨密度の改善には、テストステロン補充だけでは効果は低いが、ビタミンDをともに2年間補充すると、著しい改善がみられた。

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ビタミンD補充と骨密度変化