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クラインフェルター症候群の末梢血のscRNAseq

Single-Cell Sequencing Reveals the Relationship between Phenotypes and Genotypes of Klinefelter Syndrome
Cytogenet Genome Res DOI: 10.1159/000503737

中国

 

KSは個々人の症状の違いが大きいが、それでも共通の兆候がいくつかある。
女性の不活性X染色体の15%は抑制から逃れて発現していると言われており、それはKSにおいても起こっていると考えられる。
これまでのバルクなRNAseqでは違いが平均化されてしまったが、scRNAseqならば個々の細胞のユニークが違いが分かるかもしれないと考え、 一人のKS男性の末梢血を比較研究した。

 結果

KS患者の遺伝子発現はコントロール(男性)と同じクラスターで、コントロール(女性)とは異なる。

KSで発現に違いが大きい遺伝子(DEGs)にエンリッチしているのは免疫系の遺伝子だった。
コントロール男性と比べて、T細胞で146個、 B細胞で122個, NK細胞で158個, マクロファージで265個, 樹状細胞で199個の DEGsを 確認したが、それらの多くは常染色体であった。
これまでの他のグループのRNAseqの結果と比較して共通してみられるものに、CD99 と DDX3Xがある。
HD99のハイレベルは心機能、短いQTcインターバル、不整脈を示唆し、高いDDX3Xは、肥満、炎症、 血栓などと関連がある。
HLA-Bは免疫反応に関与しているが、これがKSではいずれの細胞でも高い発現だった。
regulator of G protein signaling 1 ( RGS1 ) がKSでは、T細胞、NK細胞、樹状細胞でトップ1の発現だった。 T細胞の RGS1 を標的にする治療などが将来考えられるかもしれない。